アンプ改造の続編 部品が届いた
- 2021/07/04
- 11:56
アンプの改造用部品が届いたので,やる気を出して改造に掛かろうかと思っている。
下の写真は,今回改造するパワーアンプ(メインアンプ)とペアで使っていた自作のRIAAアンプ。

アナログレコード盤は,ビニール板(実際にはラッカー盤)に物理的に溝を彫ったもので,溝幅(振幅)は低音と高音では大きく異る。低音は幅が広いのでそのままだと隣の溝に侵入して壊してしまい,逆に高音は振れが小さ過ぎて,正確な記録出来なくなる。そこでRCA社が開発した方法を使うことが国際規格になった。具体的には,一定の規則に沿って,低音の振幅を小さく,高音の振幅を大きくして,レコード盤に彫り込むようになっている。その増減の比率の規則がRIAAカーブというものだ。ある基準の周波数を中心にそれより低音と高音をS字に増減させるので,カーブと呼ばれる。グラフは掲載しないが,グラフで見ればそれがS字カーブであるのは一目瞭然である。
一方,レコードを再生する時には,記録時と逆の比率(RIAAカーブ)に復調する。それを行うのがRIAAアンプで,本来の言葉の意味から「イコライザーアンプ=等しくするもの」と呼ばれる。近年では周波数毎に細かく音質調整を行う機器をイコライザーとも呼ぶが,厳密にはその呼称は誤用である。あれはあくまでも細分型のトーンコントローラーである。
ということで,RIAAアンプはアナログレコードを再生するためには必須で,写真のRIAAアンプはパワーアンプとセットで作ったもの。電源はパワーアンプから約300Vとヒーター用の6.3vを供給している。写真右奥のリア・パネルに付いている赤青の線が繋がった丸いものがパワーアンプに繋がる電源コネクタで,その右の塊はヒーター用の直流安定化回路で,黒い角張ったものはその放熱器(ヒートシンク)。手前側のフロントパネルに付いている黒い筒状のものが電解コンデンサーと呼ばれるもので,300Vの電源をより平滑化(ノイズを減らしキレイなものにする)するためのもの。イコライザーケース内に電源の交流部を入れなかったのはノイズ対策だ。当時の自作プリアンプでは,ノイズを避けるために電源を別体にすることがよく行われた。
当時は,エッチング(溶液で銅を溶かす)でプリント基板を作ることもしていた。この基盤も自作だ。真空管3本のシンプルな構造だが,銘機マッキントッシュ社製のプリアンプC-22の回路とほぼ同等な回路を使っている。パーツは当時流行りだったものを多く使っている。このアンプはもう廃棄解体することにした。RIAAアンプは超低ノイズのものが,デノンのCDレシーバーに搭載されているので,アナログレコードを再生するときには,そちらを使うので,もうお役御免ということだ。
その中から使えるパーツを移植する。とりあえずは赤線で枠を付けた四角い部品。これは2連可変抵抗器,いわゆるボリュームである。左右の音量を同時に変えるために,2個が重なっている。とりあえずこのRIAAのアンプの部品は,これだけをパワーアンプの改造に再利用する。今回の改造で,入力電圧が適正になれば,PCの再生ソフトのボリュームコントロールだけでも良いと思うが,利便性を考えて一応取り付ける。古いのでガリノイズが出る可能性もあるが。
話が前後するが,このRIAAアンプはあくまでも上に書いた用途なので,電圧を上げる(増幅)目的のアンプではない。しかし,小さな信号のままだとノイズに負けてしまうので,ある程度信号を増幅してからRIAA補正している。なのでアンプと呼ばれるが,出力電圧は50~100mV程度しかなく,パワーアンプをフル出力で使うには小さすぎる。そこで,本来は,この後にフラットアンプというものを取り付け,信号電圧を200mV程度に増幅し,パワーアンプに送る。しかし,アンプが1個増えると音の透明度が確実に落ちるので,以前は,パワーアンプの出力(スピーカーの音量)をある程度犠牲にして,音質を優先し,フラットアンプを使ってなかった訳だ。
通常,このRIAAアンプとフラットアンプは一体で扱われ,プリアンプと呼ばれる。当然,入力がアナログプレーヤーではなく,カセットテープなどの場合には,RIAAアンプは通らず,直接フラットアンプに繋がる。フラットアンプ部には,トーンコントロール回路が入れられる場合もある。
音楽ではなく,ドンシャリの音を聞くのが目的の人には,このトーンコントロールは必須だろうが,それ以外の人の場合,部屋の状況やスピーカーの置き場所でどうしても音質操作が必要な場合を除いては,トーンコントロールで音質調整すると,全体の音のバランスが崩れるので好ましくない。そんな理由で,アンプを自作する人には,トーンコントロール回路を省略する人が少なくない。フラットアンプが入るだけでも音の瑞々しさが失われるのに,トーンコントロール回路まで入れたらどうなるか,推して知るべし,である。
次の写真は今回調達した部品。手前の大きな青と薄茶色の2個はローターリースイッチである。その名の通り,回転式の切り替えスイッチである。1個でいいのだが,故あって違うタイプを2個購入。送料の節約のためだが,次回,買ってあるのを忘れてまた買ったりするので,実は節約にはなっていない。歳はとりたくないもんだ。

今回の改造の目的は,DACの2Vの出力が,このパワーアンプには高すぎるので,パワーアンプの手前に出力電圧を下げるアッテネーターを入れることだ。アッテネーターは電圧を落とす目的で,抵抗器3本で作ることは前に書いた。
ビニール袋に入った小さく細長い部品が抵抗器だ。これを24本使う。減衰量を3通りに変更出来るように,3個のアッテネーター回路を切り替えられるようにする予定。ただし,ローターリースイッチも無いほうが音質的には有利なので,暫く使って適当な減衰量が判明したら,ローターリースイッチを廃止し,1個のアッテネーターにする予定だ。1個のアッテネーターで3本の抵抗器を使うだけなのに,3個のアッテネーターで,左右チャンネルで6本×3通りが24本となるのか。それは抵抗器の値は規格で決まっており,計算値通りものが存在しない場合もあるからで,そういう時には複数の抵抗器を合わせて使うためだ。つまり,或るひとつの抵抗値を得るために,2本の抵抗器を使う場合もあるということだ。
この抵抗器は,一応オーディオ用となっていた。1個30円だった。多分タンタル皮膜だと思う。上の写真のRIAAアンプの抵抗器と同じ種類だろう。下のローターリースイッチは約200円と約500円。ローターリースイッチの直径が3cmあるので,メール便適応外で,送料は宅配で550円だった。近所に東京のアキバも大阪の日本橋もない我が家では,確かに通販は便利この上ないが,常に送料がネックである。
下の写真は,今回改造するパワーアンプ(メインアンプ)とペアで使っていた自作のRIAAアンプ。

アナログレコード盤は,ビニール板(実際にはラッカー盤)に物理的に溝を彫ったもので,溝幅(振幅)は低音と高音では大きく異る。低音は幅が広いのでそのままだと隣の溝に侵入して壊してしまい,逆に高音は振れが小さ過ぎて,正確な記録出来なくなる。そこでRCA社が開発した方法を使うことが国際規格になった。具体的には,一定の規則に沿って,低音の振幅を小さく,高音の振幅を大きくして,レコード盤に彫り込むようになっている。その増減の比率の規則がRIAAカーブというものだ。ある基準の周波数を中心にそれより低音と高音をS字に増減させるので,カーブと呼ばれる。グラフは掲載しないが,グラフで見ればそれがS字カーブであるのは一目瞭然である。
一方,レコードを再生する時には,記録時と逆の比率(RIAAカーブ)に復調する。それを行うのがRIAAアンプで,本来の言葉の意味から「イコライザーアンプ=等しくするもの」と呼ばれる。近年では周波数毎に細かく音質調整を行う機器をイコライザーとも呼ぶが,厳密にはその呼称は誤用である。あれはあくまでも細分型のトーンコントローラーである。
ということで,RIAAアンプはアナログレコードを再生するためには必須で,写真のRIAAアンプはパワーアンプとセットで作ったもの。電源はパワーアンプから約300Vとヒーター用の6.3vを供給している。写真右奥のリア・パネルに付いている赤青の線が繋がった丸いものがパワーアンプに繋がる電源コネクタで,その右の塊はヒーター用の直流安定化回路で,黒い角張ったものはその放熱器(ヒートシンク)。手前側のフロントパネルに付いている黒い筒状のものが電解コンデンサーと呼ばれるもので,300Vの電源をより平滑化(ノイズを減らしキレイなものにする)するためのもの。イコライザーケース内に電源の交流部を入れなかったのはノイズ対策だ。当時の自作プリアンプでは,ノイズを避けるために電源を別体にすることがよく行われた。
当時は,エッチング(溶液で銅を溶かす)でプリント基板を作ることもしていた。この基盤も自作だ。真空管3本のシンプルな構造だが,銘機マッキントッシュ社製のプリアンプC-22の回路とほぼ同等な回路を使っている。パーツは当時流行りだったものを多く使っている。このアンプはもう廃棄解体することにした。RIAAアンプは超低ノイズのものが,デノンのCDレシーバーに搭載されているので,アナログレコードを再生するときには,そちらを使うので,もうお役御免ということだ。
その中から使えるパーツを移植する。とりあえずは赤線で枠を付けた四角い部品。これは2連可変抵抗器,いわゆるボリュームである。左右の音量を同時に変えるために,2個が重なっている。とりあえずこのRIAAのアンプの部品は,これだけをパワーアンプの改造に再利用する。今回の改造で,入力電圧が適正になれば,PCの再生ソフトのボリュームコントロールだけでも良いと思うが,利便性を考えて一応取り付ける。古いのでガリノイズが出る可能性もあるが。
話が前後するが,このRIAAアンプはあくまでも上に書いた用途なので,電圧を上げる(増幅)目的のアンプではない。しかし,小さな信号のままだとノイズに負けてしまうので,ある程度信号を増幅してからRIAA補正している。なのでアンプと呼ばれるが,出力電圧は50~100mV程度しかなく,パワーアンプをフル出力で使うには小さすぎる。そこで,本来は,この後にフラットアンプというものを取り付け,信号電圧を200mV程度に増幅し,パワーアンプに送る。しかし,アンプが1個増えると音の透明度が確実に落ちるので,以前は,パワーアンプの出力(スピーカーの音量)をある程度犠牲にして,音質を優先し,フラットアンプを使ってなかった訳だ。
通常,このRIAAアンプとフラットアンプは一体で扱われ,プリアンプと呼ばれる。当然,入力がアナログプレーヤーではなく,カセットテープなどの場合には,RIAAアンプは通らず,直接フラットアンプに繋がる。フラットアンプ部には,トーンコントロール回路が入れられる場合もある。
音楽ではなく,ドンシャリの音を聞くのが目的の人には,このトーンコントロールは必須だろうが,それ以外の人の場合,部屋の状況やスピーカーの置き場所でどうしても音質操作が必要な場合を除いては,トーンコントロールで音質調整すると,全体の音のバランスが崩れるので好ましくない。そんな理由で,アンプを自作する人には,トーンコントロール回路を省略する人が少なくない。フラットアンプが入るだけでも音の瑞々しさが失われるのに,トーンコントロール回路まで入れたらどうなるか,推して知るべし,である。
次の写真は今回調達した部品。手前の大きな青と薄茶色の2個はローターリースイッチである。その名の通り,回転式の切り替えスイッチである。1個でいいのだが,故あって違うタイプを2個購入。送料の節約のためだが,次回,買ってあるのを忘れてまた買ったりするので,実は節約にはなっていない。歳はとりたくないもんだ。

今回の改造の目的は,DACの2Vの出力が,このパワーアンプには高すぎるので,パワーアンプの手前に出力電圧を下げるアッテネーターを入れることだ。アッテネーターは電圧を落とす目的で,抵抗器3本で作ることは前に書いた。
ビニール袋に入った小さく細長い部品が抵抗器だ。これを24本使う。減衰量を3通りに変更出来るように,3個のアッテネーター回路を切り替えられるようにする予定。ただし,ローターリースイッチも無いほうが音質的には有利なので,暫く使って適当な減衰量が判明したら,ローターリースイッチを廃止し,1個のアッテネーターにする予定だ。1個のアッテネーターで3本の抵抗器を使うだけなのに,3個のアッテネーターで,左右チャンネルで6本×3通りが24本となるのか。それは抵抗器の値は規格で決まっており,計算値通りものが存在しない場合もあるからで,そういう時には複数の抵抗器を合わせて使うためだ。つまり,或るひとつの抵抗値を得るために,2本の抵抗器を使う場合もあるということだ。
この抵抗器は,一応オーディオ用となっていた。1個30円だった。多分タンタル皮膜だと思う。上の写真のRIAAアンプの抵抗器と同じ種類だろう。下のローターリースイッチは約200円と約500円。ローターリースイッチの直径が3cmあるので,メール便適応外で,送料は宅配で550円だった。近所に東京のアキバも大阪の日本橋もない我が家では,確かに通販は便利この上ないが,常に送料がネックである。